精神分析的心理療法 対象関係論 カウンセリング

あさ心理室でこころを学ぶ

心理臨床や精神分析についての学び

現代クライニアン イギリスで③ハーバート・ロゼンフェルド

Contemporaryクライニアン

英国でのクライン学派 ③ロゼンフェルト

 

 

ハーバート・アレクサンダー・ロゼンフェルド

 Herbert Alexander Rosenfeld1909年 - 1986年

 

ローゼンフェルドは、

ニュルンベルクに生まれたユダヤ人である。

医学を志し、

1935年にロンドンへ移民する。

この間、彼は様々な理由で臨床現場を失い

次に移るとことを繰り返している

後に妻となる音楽家志望のロッティと出会う。

ロッティは移民の際に外傷体験があり、

そのために精神的に不安定になり、

ハイマンに分析を受けている。

そのロティに対して語られた解釈を

ローゼンフェルドは聞き、

衝撃を受けている。

そして、自分も分析を受けたい。

そう思い、ハイマンの師である

メラニークラインに自分の分析の依頼をする。

それとともに

ローゼンフェルドは分析家になるトレーニングを開始する。

 

 

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ローゼンフェルドは、

最初のトレーニングケース『トーマス』

の経過の中で精神病性の思考障害が明らかになり、

治療の中止をし精神病院への転院を説得した。

手放してしまったことへの後悔と罪悪感。

 

そして二人目のトレーニングケース『ミルドレッド』

そのミルレッドに同一化し、そこでの逆転移感情を

クラインとの分析に持ちこんだ。

 

ビオンの金言

『記憶なく 欲望なく…』に対して

東中園先生曰く

ローゼンフェルドの分析治療の背後にある熱意は

「捨てない 逃げない 諦めない」

 

患者が何を言っているのかではなく

患者が何を伝えようとしているのかを

よく聞くんだ!

 

患者が無意識的に伝えようとしてきているもの

コミュニケートしてきているものを受け取ろうというのが

ローゼンフェルトの基本的姿勢である。

 

現代のように、

クロルプロマジンもない時代に

統合失調症患者に向き合い

精神分析的な治療をこころみた。

東中園先生はいう

精神病者の人生の道行きを支える治療観』

 

 

 

患者は幻聴がひどくなった状態でやってくる。

患者は分析家の存在に気がつかないように

部屋の中をうろつき何かを探し回っている。

 

「あなたは自分をここでなくしたと感じていて

 その自分を探しているみたいだ」

 

「自分の根っこを見つけないといけない。

 あなたのことを好きになりすぎることが

 いいのかどうか僕には分からない」

 

彼にとって分析家を好きになることは、

分析家の中に入り込んで自分を見失うことであり、

根っこを失うことなのだと感じているのだと

ローゼンフェルドは言って聞かせる。

 

飛谷先生の「精神分析たとえ話」の中に記述されている

『ローゼンフェルドと精神分析の神様』の一節である。