フロイトを、受け継ぎ、そして、超える
無意識的幻想と内的対象
メラニー・クラインは自らを「フロイトの後継者」と位置づけていたようだ。
無意識的幻想という概念そのものは、既にフロイトが論じている。
フロイトは誘惑理論を撤退させて、外傷が想像上の出来事に起因する、外傷は子どもの幻想であるという理論へと移行した。この時点で子どもの「無意識的幻想」という考えを導入している。
しかし、この考えは非常に限定的なものであり、クラインはかなり早期の段階から子どもが無意識的な幻想の世界を持っていることをダイナミックなプレイの記述から描いている。
幼少時期の環境における体験よりも精神内界の体験を重視していく視点を開いていった。さらにその視点は子どものプレイのみならず、成人の治療においても重要なものとなっていく。
つまりは、現実の客観的な対象とは別に、精神内界にある内的な対象の認識である。
「あなたは、その心の内に、どんな対象を持って、
そしてその対象とどんな関係を持っているのでしょう」
そんな思いをこころに持ちながらセラピストはクライエントとやりとりをしていく。
その内的対象の物語を辿りながら、
時にその内的対象そのものを実演しながら、
その内的対象をめぐる空想の世界をともにする。